前回のインターンシップで失敗した私の黒歴史では、私自身の学生時代の苦い経験について書いてみました。
正直、あのインターンシップは参加しなきゃ良かったな・・・と思ったのですが、現在の状況とは全く違っているようなので、詳しく調べてみました。
今回は、インターンシップ制度についてや、エアラインにおけるインターンシップの参加意義についてを考えてみました。
そもそも、インターンシップって何?
元々は、アメリカなど欧米で盛んに行われていたインターンシップでしたが、日本でも2000年代に入り、不況下の人材採用方法として実施する企業が増えてきました。・・・いわゆる就職氷河期と言われていた頃ですね。
インターンシップが普及するにつれ、その内容は「職業経験」から「就職活動の入り口」へと変化し、社会貢献的な目的で実施するという建前を挙げつつ、早い時期から学生を囲い込む目的で実施する企業も多くなっています。
就職活動が解禁になる前に始まるインターンシップ。1日だけの短期のものから、数ヶ月、数年に渡る長期のものまで、いろんなケースがあって実態がつかめないと思っている方も多いと思います。
インターンシップの目的と3つのタイプ
短期型 (1日Day、2週間~1ヶ月)
現在の客室乗務員のインターンシップはJAL・ANA両社とも短期型です。JALに関しては、実務ではありませんが、モックアップで業務体験できるプログラムもあります。
【1DAYインターンなどのセミナー・会社説明会タイプ】
講義形式で業界や職種、企業について学べます。
また、社内を見学して実際に働いている社員の様子や雰囲気を見ることができたり、GD(グループディスカッション)などを通して業務に対する知識を深められます。1DAYインターンと言う名目で会社説明会を行っている場合もあるので、内容や目的を確認して参加しましょう。
【2週間~1ヶ月(中期型と分類される場合もある)プロジェクトタイプ】
1DAYインターンの内容に加えて、実務体験やプロジェクトを通して業務について学ぶことができます。
例えば、実際に商品開発や販売促進などの課題を与えられ、グループワークを通して解決するなど、その業務に適性があるか知ることができます。この場合、学生自身だけでは無く、企業からも適性を見られているので要注意です。
長期型 (1ヶ月~数ヶ月、数年)
【就業タイプ】
実務を通してスキルや社会経験をを得られる。実際に働いた対価として給与も発生するが、平均時給1000円前後と大学生の一般的なアルバイトより低いようです。
アルバイトは、マニュアル通りに働き、労働力と時間の対価として給与を得ますが、インターンの場合は、自分の判断で業務を遂行したり、責任の伴う仕事を担当したりと、社員の一員として働き、給与と同時に自身の経験やスキルも得ることができます。
また、卒業後に即戦力として、そのままインターン先の企業に就職するケースも多いようです。
関連情報
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双方の目的・メリットは?
企業にとってのメリット
- 学生に「職業体験の場を与える」ことで社会貢献出来る
- 学生への認知度向上と会社PR
- 社風や業務内容を良く理解してもらい、学生とのミスマッチを回避
- 意欲が高く適性のある学生の囲い込み
- 長期インターンの場合は学生の斬新な意見を取り入れ、即戦力となる学生を早い段階で採用することができる
学生にとってのメリット
- 参加したことをESや面接でアピールできる
- 業務内容を理解し、適性を自覚することでミスマッチを防ぐことができる
- 学外の就活仲間・友人ができ、情報交換もできる
- いろんな仕事を実際に体験し、自覚していなかった自分の適性や、やりがいに気付ける
- 企業からの先出し情報を得られたり、直接就職につながることも
私の場合は、学生時代の就職活動時、客室乗務員の他にも「旅行ガイドブックを作ってみたい」という気持ちもあったのですが、社会に出た後に転職ミスマッチで失敗しました。
デメリット(個人的な反省も含む)
デメリットとして挙げられるのは、ズバリ、お金と時間です。
(ただし、お金に関しては地方在住で、渡航費、宿泊費がかかる場合)
前述の目的とタイプを勘案せずに、参加するタイミングや期間を間違えると、お金と時間を無駄にしかねません。
就活本番で授業を休んだり、渡航費や宿泊費を捻出するのは、やむを得ない事ですが、適当な気持ちで安易にインターンシップに参加し、学業を疎かにしたり、就活資金を無駄にしてしまうのでは本末転倒です。
ネット上には東京在住の人による東京在住の人のための情報で溢れていますが、首都圏(1都7県)にある大学は全国の大学の33パーセントあまりに過ぎません。
「参加するのは当たり前」「いろんな業界にチャレンジ」などと言われても、インターンシップを開催するのは東京本社が多く、交通費や宿泊費がかかる場合は、お金を捻出しなければなりません。
私のケースは、かなり以前のお話ですし、実施場所がロンドン、期間1ヶ月、更に地方(札幌)在住・・・と特殊なので、参考にならないかもしれませんが、時間もお金もそれなりにかかる事が分かっていながら、本当に自分に必要なのかを吟味せずに、就職課の職員の言うことを鵜呑みにしてしまったことを反省しています。
春休みの貴重な時間を無駄にし、その後、その会社の採用試験で失敗した頃には、わざわざ東京まで行って受けたいような他の会社の採用試験は終わっていました。
さらに、インターンシップで30万ほど(学生にとっては大金ですよね)使い、その後の就活資金も余裕がなくなりました。
仮に私が大学1、2年生で、志望するの職種が客室乗務員か地上係員かで迷っていたというのであれば、同じ内容であっても、とても意義のあるものだったと思います。
微妙な質問や失敗はデメリット?
しかし、希望の会社の人事部に問い合わせるとなると「これを聞いたら、採用に差し障りがあるのかな・・・。」など、気になってしまいますよね。
さらに、実際インターンシップに参加するとなると、企業の人事の方や現役社員と接する機会を得られますが、「グループワークなどで上手く行かないと採用試験で減点されるのかな?」と不安に思う方もいると思います。
その点においては、学生として、マナーさえわきまえていれば問題ないようです。
インターンシップはあくまでも就業体験の場です。ただ、その中で目立って好印象だった学生が採用担当者の記憶に残ることはあります。その場合も「ミスした学生を振り落とす」のではなく、「印象の良い学生が記憶される」のです。プラス評価が選考に影響することはあっても、マイナス評価が不利になることはありません。安心してください。
実際、私もインターンシップ中、あれだけやりたい放題やらかしましたが、人事のインターンシップ担当の方は、採用試験で不合格だったことは知らないようでした。単に面接で失敗しただけで、インターンシップのせいで不利になったのではないと思います。
しかしながら、募集要項に「採用選考には関係ありません」と明記してある場合は、記述通りなのかな・・・と思いきや!?そうとも言いきれないようです・・・。
JALプレスリリースによると2019年2月に行われた3日間のインターンシップに関して、記事の一番最後に「本イベントは、今後の選考には関係ありません。」と明記されているにも関わらず、実際このインターンシップの参加者は採用試験の1次面接は免除で2次面接に進めました。
同年行われた1日のみのインターンシップと比べて、ES(エントリーシート)のみならず面接と適性検査があるので、通過した方は第一印象などに優れた学生であることは間違いないと思います。
しかし、こうやって見ると、選考に繋がるか繋がらないかは、グレーゾーンですね・・・。
エアラインのインターンシップに関する考察
それでは、直近の2019年/2020年に実施されたJAL・ANAでのインターンシップについて見てみましょう。
JAL・ANAの現在のインターンシップ比較と分析
以下は、国内大手2社のインターンシップ公式ウェブサイトです。
まず、一度目を通してみましょう。
参加対象
JAL、ANA共通で、専門学校、高専、短大、4年制大学、大学院在籍中で学年不問。
大学3年など就職活動直前の学年であれば、ESや面接、GD(グループディスカッション)の練習にもなります。
また、学生時代の早い段階で参加すれば、業界・企業研究だけでなく、自分に足りない部分や反省点を学生生活に反映し、希望の職業に向け自分を磨くこともできますね。
更に選考で敗退しても翌年また応募可能ですし、今回のコロナ禍の様に想定外の事態で中止になっても、翌年挑戦できる可能性もあります。
実施時期・期間
JAL:1月下旬から2月末までのうち2日間。
ANA:11月初旬から1月中旬のうち1日。
ANAは、冬休みを含めその前後。JALは、春休みにかけた時期で、両社被らないようになっていますね。
期間はJALの2日間に対し、ANAは1日のみなのでJALの半分。
前年度、JALは1日と3日間の2種類の日程があり、3日間のインターンシップに参加した学生は採用1次試験免除になりましたが、2020年は2日間の日程のみ。
募集要項に「※本イベントは、今後の採用選考とは関係ありません」と明記されていましたが、参加者口コミによると、人事部によるインターンシップ参加者向けのミーティングが予定されていたようです。
結局、コロナ禍のため採用中止となってしまいましたが、インターンシップ選考の段階で適性検査や面接もあったので、前年同様1次面接免除になる予定だったのかもしれません。
期間的には1日、2日と、2社とも短期型なので、両方参加できれば、同じ職種でも両社の違いや自分との相性が明確になりそうですね!
実施場所
JAL:東京のみ。
ANA:東京、名古屋、大阪、福岡、福岡、札幌のいずれか。
ANAは6都市で開催!これは地方在住者には嬉しい設定です。地方の学生にとっては就活って本当にすごくお金がかかります・・・。
内容
JAL:航空業界、JALが大切にしていること、客室乗務職について(具体的に何をするか記載なし)と訓練所での業務体験。全日程現役CAがサポート。
ANA:エアライン事業、客室乗務職に関する講座、グループワーク。現役CAからのフィードバック。
JALは、業界・会社説明会的な内容と、職業体験。座学だけではなく、訓練所のモックアップで業務体験できるのは、志望者にとっては嬉しいですね。
ANAはグループワークを通して業界や会社について学べる内容のようです。“カリキュラム内容”と記載がありますが、カリキュラムとは教育内容の計画のことなので、体験というよりは、学生の学びにフォーカスしているようです。また、現役CAの「サポート」ではなく「フィードバック」という点も違いますね。ANAは自社CAスクールもありますし、グループワークでフィードバックを貰えると、採用試験にも役立ちそうです。
選考方法
JAL:書類選考(WEBエントリーシート・適性検査)、面接
ANA:ES(エントリーシート)提出方法のみ記載あり 参加者口コミによると選考はESのみ
報酬・費用
JAL:報酬なし。交通費なし。
遠方の場合はインターンシップ参加時の航空券は支給されますが、面接の航空券代は実費ですし、2日間の日程なので、2泊ほど宿泊費もかかります。
ANA:特に記載はありませんが、就業型インターンシップではないので当然報酬はなしという事でしょう。また、地方都市でも開催され、日程も1日なので、地方の学生にとっては断然負担が少ないですね。
過去参加者の口コミ
インターンシップの選考過程や感想など、就活会議というサイトのインターン体験記にて読むことができます。
学校のメールアドレスがあれば無料で登録できますので、確認してみましょう。
おわりに
自分の経験した頃と比べると、エアラインのインターンシップは、かなり効率的かつ魅力的な内容に進化していると感じました。
両社とも、これなら参加したい!と思います。
インターンシップに関しては、グレーゾーンも多い分、企業も試行錯誤して年々形態が変化しているようです。
疑問に思ったことがあれば、自分で納得行くまで調べ、確認して、意義のある経験にしたいですね!
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- 意義のあるインターンシップになるかどうかは自分次第(目的意識を持って参加する)
- 限りある時間とお金は大切に(地方の学生は特に)
- 失敗を恐れず、でも悪印象は与えない
- 履歴書上に職歴を残さずに興味のある仕事を体験できるチャンス
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インターンシップの選考に通った方は、採用試験だと思うくらいの心構えで、全力で頑張ってくださいね!
そして、選考に漏れてしまった方、気にせず採用試験で頑張りましょう!ESの内容を見直したり、第三者に見てもらったり・・・そこで改善すれば、それだけでチャレンジした価値はあります!
他の企業と比べると大量に採用のある大手エアライン、採用試験で合格すればいいだけのことなんですよね。
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