信じられないかもしれませんが、私、国内大手航空会社のCA採用試験に遅刻しました。
しかし、これは失敗談ではないんです。
…合格したんです。なぜか。
お恥ずかしい話なのですが・・・。今日は、そんな実際に起こった、ウソみたいなホントの話をシェアします。
CA受験自体は、この時点で外資含め5社目です。
実は合格へのヒントが隠されているので、ぜひ謎を推理しつつ読んでみて下さい。
事件現場より
それでは、実際の採用試験の様子を再現してみます。
因みに、既卒試験で、1次はエントリーシートを手渡しして、簡単な受け答えをするだけでした。
以下は2次試験以降です。
採用試験、まさかの遅刻
某横浜市内のホテルでの採用試験会場、10:25。
「よし、5分前。お化粧直す時間ないけど、間に合ってよかった!」と受付に向かうと、恐らく現役CAと思われる綺麗なお姉さんがひとこと。
「もう始まってますけど・・・」
茫然と立ち尽くす私。
なんと、集合時間は10:20分。
勘違いかメモ間違いか、10:30からだと思い込んでいた私は、一瞬何が起こったか分からず、ただただ、しばらく固まっていた。
「これは・・・終了ということよね・・・。」
採用試験に遅刻するなんて、CA受験以前に社会人としてアウトでしょう・・・。と、混乱した頭の中を整理しつつ、帰宅しようとした・・・その時。
「まだ、大丈夫みたいですよ!」と受付の綺麗なお姉さんが仰るではないですか。
天使降臨!
私が固まっている間に、どうやら英語試験の会場内にいる試験官と電話で連絡を取っていてくれた模様。
「まだ試験は始まってないみたいだから、ダッシュで行きますよ!」と笑顔で一緒に走って英語試験の会場に連れて行ってくれた。
あなたは、天使ですか?
英語リスニング、やらかしました
シーンと静まり返った大きな会場内、一番後ろの席にこっそり座る。
机の上には問題冊子が一冊ある。
試験の説明は既に終わっているらしく、さっそく英語の音声が流れ始める。
「リスニングテストか。」と、問題用紙を開いてみると・・・。
リスニング問題が無い!
「え・・・!ど、どうする!私!?」
とりあえず、静かに挙手してみる。
試験官は気づいてくれない。
「す・・・すみません・・・」大きな会場内の一番後ろから、声をあげる。
幸い(?)英語の音声もインストラクションまでしか進んでいなかったので、一度テープが止まり、リスニングの問題用紙を受け取ることができた。
遅刻したのみならず・・・皆に迷惑をかけてしまった・・・。
もう、むしろ、帰りたい。
グループディスカッション、意気消沈
英語のリスニングとリーディングの試験が終わり、グループディスカッションの会場に入る。
私のグループは6人で、簡単に自己紹介した後、司会と書記、タイムキーパー、発表者も立候補ですんなり決まり、みんなニコニコ、ハキハキ発言していたが、私はボーっと聞きに回っていた。
「遅刻したし、もう受かるわけない。あぁ、もう、バカバカバカ・・・。」などとくよくよ考えていた。
確かお題は「沈みかけた船で、誰を救命ボートに乗せるべきか・・・」みたいな内容だったと思う。
何も発言しないまま、制限時間5分前の合図があり、司会の人がひとこと。
「自由人さんはどう思われますか?」
ハッと我に返った私は、とっさに「皆さんの仰る通りだと思います。その案で賛成です。」と笑ってごまかしてみた。
簡易身体検査、その後・・・
その後、簡単な身体検査があって試験は終了。
グループディスカッションのメンバーと軽くランチして帰宅。
皆で連絡先を交換したが、途中から連絡が途絶える。
後日談だが、2年後、1年下の後輩から声をかけられた。
「自由人さん、グループディスカッション、一緒でしたよね!」
あの時、司会をやってくれた人だった。翌年の既卒採用で合格したとのこと。
どうやら、あのグループで受かったのは私だけだったらしい。
謎の2次通過と3次試験
その頃私は、ショールームアテンダントとして、都内のメーカーショールームに勤務。
“ザ・女性の職場”で、他にも同じ航空会社の採用試験を受けた先輩方がいると噂で聞いていた。
2次試験発表の日は、職場がざわついていたのを覚えている。
明るくて元気な、正にその航空会社のイメージピッタリの先輩の顔が、心なしかその日は青ざめていた。
採用ウェブサイトを見てみると、なぜか私は通過…。
「これは、何かの間違い??」
謎は深まるばかり。
3次試験に関しては、グループ面接、個人面接と筆記試験、航空身体検査と説明会で、入社時期の相談などもしていたことから、落とす試験というよりは意思確認的なものだったような気がする。
そこまで進めるとは思っていなかった私は、狐につままれた気分で、淡々と駒をすすめ、その後、あっけなく採用通知を受け取った。
・・・さて、ここまで読んで下さった方、ありがとうございます。
なぜ私は合格したんでしょうか?
合格ミステリー、謎解きの時間です
それでは早速、推理してみましょう。
実際に乗務してみると、私なりに思うことがありました。
意気消沈と掛けて合格と解く。その心は?
どちらかと言うと、私はいつも思ったことを発言してしまう(し過ぎる)方です。
面接はしっかり受け答えして、自分をどんどんアピールするべきものだと思っていました。
しかし、実は客室乗務員という職業、営業やクリエイティブな仕事とは違い自分の能力や意見をアピールする様な仕事では無いんですよね・・・。
機内では、お客様が主役。
そして先輩方々を立てて、アドバイスを頂いて、初めて仕事ができる・・・。
お客様の話を聞き、先輩の話を聞く。
面接のように、直接発言を求められる場合は、もちろんしっかり受け答えするべきですが、グループディスカッションの様な場では特に、他の人の話を聞いているかを見ているのだと思います。
「何か気の利いた事を言わなきゃ・・・」とか、ついつい思いがちですが、ディスカッションのお題の内容自体はそれ程重要じゃないのだと思います。
自分の意見をまとめて発言するのに必死で、人の意見を聞いていない。
そういう受験生、多いと思います。
私もそうでした。
この採用試験では、たまたま、遅刻したせいで意気消沈。
やる気満々、ギラギラオーラが消え失せて、いつになくしおらしく謙虚に見えたのかなぁと推理・推測します。
超重要キーワード
ディスカッションという言葉は、議論・討論という意味ですが、国内航空会社の採用試験では、討論というよりは意見のすり合わせ的なイメージで臨むべきだと思います。
意見を述べる時は、「それよりも、こちらの意見の方が良いのでは?」ではなく、「それは名案ですね。他にこんな意見もありますよ。」というように、人の意見や面目を潰さずに、自分の意見を述べる。
それは機内でコメントを下さったお客様や先輩に対する態度にも通じます。
「お客様の仰る通りだと思います。」
そう言われると、ご立腹でクレームをあげているお客様でも「この人は私の言っていることをわかってくれた。」と少しは良い気分になりますよね。
私の場合は、ぼーっとしていて自分の意見をまとめていなかっただけなのですが、たまたま、とっさに出てきた「皆さんの仰る通りだと思います。」と言う言葉が、実は超重要キーワードだったのかな・・・なんて思っています。
プレッシャーという足かせ
次回新卒玉砕編でも書こうと思いますが、実は、こちらの会社にはそれほど思い入れが無かったんです・・・。
私の新卒の時は、就職氷河期で、採用打ち切り。
でも、大本命のもう一方の会社は少人数ながら採用があったので、特に気にしてもいませんでした。更にその後1度既卒募集が出た時も、ガイドブック編集の仕事が楽しかったので受けませんでした。
そんなわけで、特にプレッシャーを感じず、3次試験の面接でも、力まずサラッと受け答えできました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ウソのようなホントの話。と言うか・・・ジョーク?
いいえ、こんなことも、あるんです・・・。
それでは、ポイントまとめです↓
-
- グループディスカッションは周りの意見をよく聞く!尊重する!
- やる気満々自分アピールモードから謙虚な聞き上手に転換
- 発言に困った時には「皆さんの仰る通りだと思います。」
- 力まず自然体で面接に臨む
・・・と、私の独断と偏見で偉そうなことを言ってしまいましたが、何より一番重要なこと。
それは、とにかく、受けること。受けてみることです。
結局、私が合格できたのは、天使のような受付の係りの方が、受験させてくれたから。
奇跡・偶然・運と縁
受付の方、英語の試験官の方、グループディスカッションの試験官の方・・・そのうち誰か1人でも違う人だったら、落ちていたと思います。
そして、時々いるんですが、「興味はあるけど、CAなんて私には無理だし・・・」と言って受けさえもしない人。
日系航空会社、入社時は、意外と見た目けっこう地味(?)な人も多いと感じました。(そして、暫くすると、皆驚きの変貌をとげます・・・。)
最後に、もう一つ・・・。
遅刻、ダメです。絶対! (お前が言うな!!)