今回はインターンシップについて、私の失敗談をお話します。
現在のインターンシップ事情とはかなり違うので、レビューとしては参考にはなりませんが、参加する意味についていろいろと考えさせられたので、反面教師として、参考にして頂けたらと思います。
国内エアライン CAインターンシップの記事で、現在のエアラインインターンシップ事情についてもまとめてみました。
また、実際に社会に出て将来の方向性に迷った時に、インターンの意義について実感したので、お時間があれば、インターンシップの利用価値についての記事も、併せて読んでみてくださいね。
「インターンシップって参加すべきなの!?」と思っている方!
さて、どうなんでしょう?
Contents
やって損は無いよね?
「やんないよりはやった方がいいんじゃない?」という安易な気持ちで、インターンシップなるものに参加してみました。
当時(2003年)の時点では、インターンシップの採用ウェブサイトでの募集は無く、大学の就職課で募集を知りました。
しかも、現在のように1日、2日では無く、1ヶ月間。
内容も、機内での客室乗務員の仕事は、セキュリティ上難しいとのことで、国内・海外の空港で地上係員の仕事を体験するというものでした。
客室乗務員志望者も参加した方が良いと、就職課の職員の方に勧められ、「せっかくだから英語圏がいいなぁ」と、安易な気持ちでロンドン、ヒースロー空港希望で履歴書を提出。
なぜか希望が通り、大学4年になる前の春休み、ロンドンに行く事になりました。
さて、蓋を開けてみると、ヒースローでのインターンシップは、私ともう1人のみ。
私の通っていた大学では、毎年内定者が出ていたので、もしかすると、当時はそういった一部の大学にしか募集がかからなかったのかもしれません。
今ではインターネットで探せば、情報で溢れかえっていますが、当時は雑誌のエアステージにも、ネット上にも、インターンシップ・・・ましてやロンドンヒースロー空港勤務の情報なんて、どこにもありませんでした。
世間知らずの地方の子
井の中の蛙…とは、よく言ったもので、大学まで札幌で生まれ育った私は、なぜか「絶対CAになれる!」と自分で勝手に決め、「インターンシップで頑張れば、採用試験もきっと上手く行くに違いない」と思っていました。
本当であれば、春休みは就職活動を始める大切な時期。
更に、当時日本ではLCC(格安航空会社)も無かったため、採用段階のどこまで進むかにもよりますが、札幌から東京に面接のたびにに移動すると、航空券と滞在費だけで、1社受けるのに20万前後かかりました。
就活のための貴重な時間とお金を、この大本命の航空会社に賭けるつもりで参加しました。
ロンドン出発前には、本社にて説明会があり、緊張と興奮で前日には知恵熱が上がりました。
人事の担当の方は、いかにも元CAな管理職世代の女性で、見るからに上品で明るく、且つ気取りがなく、いろいろと優しく気遣って下さいました。
「世の中にこんな素敵な人がいるんだなぁ!」と田舎者の私は感動したものでした。
インターンシップのリスク
自由人、本領発揮!?
いよいよ、ロンドン出発です。
ちなみに、飛行機は往復無料で乗せて頂き、勤務(実質は見学と体験)はもちろん無給です。
滞在先のホテルは、会社のディスカウントを受けられる空港近くのビジネスホテルでしたが、ロンドンは物価が高く、割引になってもツインの2人部屋で1人1泊1万4千円前後。もう1人とルームシェアでも1ヶ月20万ほどでした。
実際にそのホテルに滞在してみると、空港へのシャトルバスしか出ていない・・・。
付近に車道しかなく、歩いてどこにも行けず、周りには牛や馬までいました。
ロンドンとは名ばかりの、ZONE6の僻地。
朝食も追加料金で高い・・・。
近くにコンビニもスーパーも無く、2人部屋で冷蔵庫も無く、ホテルや空港のレストランは高くて毎食は無理。
・・・とすると、空港の簡易スーパーやカフェのサンドイッチで1ヶ月!?
インターンシップ生という身分を忘れて、脳内大ブーイングの嵐。
空港オフィスで働いている方は、ほぼ現地採用の日本人やイギリス人で、イギリス人マネージャーに相談してみると「宿泊費は実費なんだし、移動してもいいんじゃない?」とのこと。
私は大学2年の後に1年休学し、ヨーロッパとアメリカをまわったことがあり、既に何度もロンドンに滞在したことがありました。
欧州バックパッカーにとって、ロンドンはハブ(起点となる中心地)になる街で、20年前当時でも、既にRyanairやEasyJetなどのLCCがロンドンを起点にバンバン飛んでいました。
更に、Eurolinesといった長距離バスもロンドンのビクトリアから欧州各地に出ており、ビクトリア周辺のそこそこキレイで快適なB&B(朝食付き民宿)に何度か泊まったことがありました。
日本線は夜の1便のみなので、午後出勤。
空港ホテルだと全く何もできないけれど、中心部なら午前中ロンドンライフを満喫できる・・・。
余計な知識とバックパッカー魂がムクムクと湧き上がり、ルームメイトと2人で、決行してしまいました。
“宿泊先、移動”
そして、まさかの事後報告!(きゃーッ!!)
楽しい空港勤務
空港での勤務は、あまり緊張感も無く、とても楽しいものでした。
スタッフは、イギリス人や、現地で結婚してイギリスでの就労可能なビザを取得している日本人がほとんどで、良い意味で落ち着いた雰囲気でした。
羽田や成田勤務とは恐らく(と言うか確実に)全く違うのだろうと思います。
そもそも1日1便でゆったりですし、日本での体育会的・女性の職場的なキビキビ、ピリピリしたイメージからかけ離れたリラックスモード。
「まぁ、取りあえずお茶でも・・・」という感じでした。
日々の簡単なレポート記入はあったけれど、現地には人事部の人もいないし、マネージャーは緩い感じのイギリス人だし、イマイチ見られているという感じがしない。
そもそも、インターンシップって、言われたことをすればいいの?
誰かが私を見て評価しているの?
とりあえずスタッフにいろいろ質問して、メモでも取ればよいの?
自分から何か出来ることがないか、どんどん聞いたり探したりすれば良いの?
他のスタッフと同様の制服を着て、カウンターやゲート、ラウンジでの業務を体験させて頂き、刺激的で興味深い毎日でしたが、正直「私は今、ここで何をやっているのだろう・・・」と感じていました。
客室乗務員を志望する上で、現役のCAの声が聞ける訳でもなく、機内での業務を見学したり体験したりできるわけでもありませんでした。
もちろん地上係員の仕事は、客室乗務員の仕事と通ずるところも多々ありますし、連携して働くためにはそれぞれの仕事を知ることは大切です。しかし、貴重な春休みの全てを費やして、ロンドンまで来て参加する意味があったのかは疑問です。
企業が学生に職業体験の場を与え、より深く理解した上で職業を選択するできるように・・・といった趣旨の説明が募集要項にあはあったけれど、就職課の職員は「それは表向きで、良い人がいれば確保するに決まってるよね・・・。」と言っていました。
実際に参加してみると、募集要項に記載のある文字通りの内容で、採用試験に先駆けて、優秀な学生を確保するといったものでは無い模様・・・?
実際に新卒の学生を受け入れている国内の空港オフィスであれば、地上係員志望の学生を対象として、また話は違ってくるけれど・・・。
楽しいながらも、腑に落ちない・・・謎だらけの1カ月でした。
パリの休日
そして、おバカな私のインターンシップ、最後の極め付けは勤務終了後、帰国前の3日間のお休みです。
パリに留学中の友人がいたので、迷わずパリへ!
だって電車で2時間ちょっとで行けるんだし、休日は休日。
プライベートな時間に会社にどうこう言われる筋合いは無い!
ロンドンは既に満喫したしね!
インターンシップ、その後
今、この記事を書きながら、反省しています。
本社の人事の方々、ごめんなさい。
当時の状況
― 9.11.
新卒CA採用試験玉砕の思い出でも書きましたが、2001年にはアメリカで同時多発テロがあり、テロリストを恐れて旅行を控える人が増え、航空業界にも多大な影響を与えました。
それから2年後、インターンシップという名目で両親から学生を預かっている企業という立場では、指定のホテルに宿泊して、大人しくつつがなく1ヶ月を終えて欲しいというのが本音だったことでしょう。
帰国・採用試験・そして・・・
帰国後ほどなくして、その会社の客室乗務員、新卒採用試験募集が発表されました。
そして結果は、別記事の新卒CA採用試験玉砕の思い出にある通りです。
もし、暴走せずに従順に空港付近のホテルに滞在して、目を見張るような素晴らしい働きをしていたら、もしかしたら人事部にまで伝わって1次試験免除もあったのかもしれません。しかし、そんな目立って素晴らしい働きができる人は、1次試験の面接も軽く突破できるのかな、とも思います。
とにかく、仮に採用に直結していたとしても、あの内容、状況下で1カ月完璧にやり通すというのは、私には到底無理でした。
結局、インターンシップの意図も、評価の基準もよく分からない謎のままのミステリー。
後日、インターンシップの感想について、本社人事部からレポートを提出するように書類が届き、自宅に電話がありました。
その時、私は既に1次試験で敗退し、毎日泣きながら鬱々と引きこもり中だったので、電話に出られる状態ではなく、代わりに母が対応してくれました。
ロンドンに出発する前にいろいろとお世話をして下さった、あの素敵な人事部の女性からの電話で、事情を聞くなり「落ち込むのは当然ですね・・・。」と同情して下さったそうです。
母から聞いた話なので詳細は分かりかねますが、そのインターンシップ担当の方は、人事部とはいえ採用試験の結果を把握していなかったようで、不合格だったのを知らないふりをして電話した・・・というような感じではなかったとのこと・・・。
「レポートを書けるような状況ではないのは良く分かりますので、提出する必要はありません。」と言って下さったそうです。
今回、この機会にいろいろ調べてみると、少し状況が見えてきました。
私のインターンシップ経験は、2003年でのことで、今現在のエアラインのインターンシップ状況を調べてみると、当時とは全く違います。
私見ですが、どうやら、当時は日本でインターンシップ制度がまだ一般的になる前の過渡期で、会社にとっても手探り状態だったのだろうと思います。
おわりに
今現在とは形態が全く違いますが、参加すればいいってものでは無いのは、今も昔も同じですよね。
インターンシップを実施する企業側の意図と、参加することで得られる学生側のメリット、デメリットをしっかり確認し、熟考した上での参加をお勧めします。
就活生にとって、時間とお金はとても大切ですよね。
次回は、インターンシップの制度についてや、現在の客室乗務員インターンシップについてまとめました。
また、その後実際に社会に出て働いてから、インターンシップの重要性に気付きました。
CAになるのに不利な職業もある?【インターンシップの利用価値】にまとめたので、参考にして頂けたらと思います。
余談ですが、その7年後にイギリスの航空会社に就職し、ロンドンに移住しました。インターンシップのあったヒースロー空港、ターミナル3から毎フライト出勤し、学生時代の苦い経験も、今となっては楽しい思い出のひとつです。
退職した今現在もロンドン在住なので、不思議とこの街にはご縁があるようです。
当時はそんなこと、夢にも思いませんでしたが・・・。